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2022.12.06

あつまるホールディングス、米バイオ系スタートアップ『VAXESS Technologies』への提供を発端に、医療グレードに相当する高品質シルクの世界展開へ

株式会社あつまるホールディングス(熊本県熊本市、以下 あつまるHD)は、2022年11月17日に米バイオ系スタートアップVAXESS Technologies(マサチューセッツ州ボストン)と、VAXESS社が手掛ける医療機器『MIMIX™』の開発に関する今後一層の連携にかかる覚書(MOU)を締結しました。

翌11月18日には蒲島郁夫熊本県知事を表敬訪問し、連携協定の締結意図や展望等についての報告を行いました。
あつまるHDは、2017年6月末に完成した世界最大規模の周年無菌養蚕ラインを有するNSP山鹿工場において、医療グレードに相当する高品質シルクの安定生産に成功しました。

今後、国内外の企業や研究機関、大学等への提供に向けて広く展開してまいります。
あつまるHDでは高品質シルクの生産体制の確立と並行して、繭から抽出したシルクタンパク質の医療分野における用途開発も進めてまいりました。

次世代の生体吸収性材料として期待されるシルクタンパク質ですが、生産環境、トレーサビリティや供給の安定性に対する懸念から、長らく市販を想定した製品への活用が具体化していませんでした。その課題を克服するために、株式会社あつまる山鹿シルクが管理する桑園での桑葉の完全無農薬栽培、NSP山鹿工場における無菌養蚕環境構築を推進し、原料から最終製品までの全工程自社工場完結という独自の一貫した生産体制の構築を実現するに至りました。

我々はVAXESS社との連携を発端に、今後、高品質シルクとシルクタンパク質の可能性を最大限に高め、医療分野での社会課題の解決に取り組んでまいります。

高品質シルクの医療機器応用における優位性

世界中の競合産地(中国、インド、ブラジル等)とあつまるHDで生産されたシルクを対象にしたVAXESS社による比較検証の結果、以下のような理由によりパートナーの指名を受けました。

1. 自社完結の清浄環境での全齢飼育による比類なき高水準の清潔さ
2. 掃立(孵化)から収繭、繰糸までの全工程自社完結によるトレーサビリティ
3. ISO9001認証に基づく品質管理
4. 自社が管理する桑園での桑葉の完全無農薬栽培

VAXESS社および製品概要

VAXESS Technologiesは、ワクチンと治療薬を投与する簡単で効果的な方法であるパッチ型ワクチン MIMIX™ (技術)を開発しています。安定性を考慮して設計された同社のパッチは冷蔵を必要とせず、従来であれば出荷の難しい環境においても適用することができます。パッチのマイクロニードルの先端にあつまるHD製の医療グレードに相当する高品質シルクが使用されます。

パッチ型ワクチン MIMIX™

天然のシルク繊維からシルクフィブロインタンパク質を穏やかに抽出した後、エンジニアリングプロセスを使用してワクチンと治療薬を装填します。
MIMIX ™パッチを介して皮膚に適用すると、これらの医薬品を含む生体材料が体内で徐々に溶解し、非常に効果的な薬の送達とより持続的な免疫応答が可能になります。
同社は、RA Capital Management、The Engine、BARDA、DARPA、NIH、NSF、Gates Foundationなどの投資家から資金を調達しています。

今後の想定スケジュール

VAXESS社は、2022年7月にMIMIX™パッチを介して投与されるインフルエンザワクチンの安全性評価に焦点を当てた第1相臨床テストを開始しました。2022年の第4四半期に第1相試験の最初の結果報告を予定しており、今後は初のパッチによるインフルエンザワクチンの最終認可に向けたテストが実施される予定です。